どにーだーこ

十二人の怒れる男のどにーだーこのレビュー・感想・評価

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
4.4
「疑わしきは罰せず」をまさに体現した映画。
白黒でおじさんだらけで序盤は退屈だなぁと思ってたけどみるみる面白くなっていく。
「有罪の証拠」というバイアスがかかった状態で聞くと何もかも真実のように受け入れてしまうのに、ふと視点を変えるとあっさり不確定要素になって、それが波及していくと同時に少年の人物像も変化していく。もちろんその人物像だって何が本当かわからないけど、少年が有罪か無罪かなんてどうでもよくて、同調圧力による集団意見が論理的に覆されていく流れの見事さがこの映画の全てなんだと思う。でも、結局は最初に無罪を主張した人が巧みに周りを誘導して意見を変えさせた、それもまた同調圧力に近い状態に見えた。集団の意思決定の難しさの手本としてずっと色褪せない作品だと思う。