ちろる

悪魔の美しさのちろるのレビュー・感想・評価

悪魔の美しさ(1950年製作の映画)
3.9
子供から大人まで楽しめそうなイタリアの寓話的物語。
ゲーテの戯曲をモチーフにしつつもオリジナリティあふれる愉快な脚本がとても楽しませてくれます。

初老の大学教授ファウスト博士は、老い先短い自らの衰えた体に不安を抱えていたが、悪魔に唆されて若いイケメンの身体を手に入れることに。
ファウスト博士が残りの人生を取り戻したいのがもっと研究が続けてたいがためなのではないかと思っていたけど、やっぱり男は男。
若い活力も手に入って直ぐに若い娘にうつつを抜かすのが男だなぁと笑ってしまった。
若さを手に入れて幸せの絶頂みたいにウキウキしてたのも束の間、まぁ当たり前なんだけど姿を消したファウスト教授の秘密を知っているという事で若ファウスト(アンリ)と名乗る)が捕まっちゃうという複雑な状況に。
さぁ、どうなるのか?
展開がとってもユニークで、悪魔とファウストのやりとりが面白い♪
悪魔がなぜファウストに目をつけたかも浅はかで漫画チック。
だんだんほんとに悪魔が、憎ったらしい悪魔に変わってくあの表情の変化も含めてテンポがめちゃくちゃいいです。
魂を悪魔に弄ばれて、地位も名声も手に入れたはずなのに、何故だか夢見た未来から遠ざかっていくファウストの運命は満たされることはなく、人間にとっての本当の「豊かさ」について考えさせられる。
当時27歳のジェラール・フィリップはキラキラ輝いた瞳と美しい出で立ちで画面を華やかに彩る、まさかこの10年も経たないうちに早世されるとは到底思えない、生命力に満ちた姿が印象的。
憎々しい演技で物語を盛り上げてくミシェル・シモンの怪演とのバランスも必見です。
ちろる

ちろる