よしまる

沈丁花のよしまるのレビュー・感想・評価

沈丁花(1966年製作の映画)
3.8
千葉泰樹という戦前から活躍した名匠が残した、晩年の未ソフト化作品ということで録画しておいた。

ひと昔前の映画やドラマを知っている世代からすれば端役までキャスト全員が超有名という豪華さなのにWikiやキネ旬のランクにも表れないという、なんぼほど豪華やねん昭和!という風情の作品。

初っ端、美人4姉妹が横一列で墓参りするシーン。絵的にもインパクト半端ないだけじゃなく、相関図や力関係などこのドラマの要素全てを一瞬で理解させる恐ろしいプレゼンテーションとなっている。なんたる痛快さだろう。

細かなネタは話が尽きないので書かないけれど、この映画はなんといっても司葉子に尽きる。10代から20代最初の彼女がそれは愛らしい別嬪さんであったことは知っていた。昭和の名女優さんはみんなそうだ。そして40代になる前には貫禄がつき始め、ある人は銀座のママのように、またある人は肝っ玉かあさんのように変貌していく。

ところが、この自由奔放でわがまま放題でティファニーのオードリーのようなすれっからし感漂う次女を演ずる司葉子はなんとこの時30を越えているのだ。今でこそ30歳と言えばまだまだ若さあふれる年齢だが、60年代はそんなはずはない、はずw
なので、本当にびっくりすると同時に、いったいいつからあのボクらが知っている司葉子さんに変身されたのか、謎だwww

さらに言うと、主役の京マチ子は自分の知っている京マチ子ではないw いやいや、昔の作品というのは大作、名作、また俳優さんの代表作的なものしか押さえられていない(それさえも全然観れてない)のでわからなかったが、こういう小品にこそそれぞれの魅力が凝縮され、記録されているんだなあと思い知らされた。

是非千葉監督の作品には触れていきたい。
先は長いぞーw