明石です

スパイダーズの明石ですのレビュー・感想・評価

スパイダーズ(2000年製作の映画)
4.7
笑いなしに見れないB級パニックムービーの良作。

宇宙人のDNAを注入した新種の巨大蜘蛛を乗せた宇宙船が墜落!噛まれた人間を100%死に至らしめる恐ろしい人喰い蜘蛛がばら撒かれ、パンデミックが起きるお話。監督は、デビュー作『モスキート』で蚊を巨大化させたスケールので蚊い男ゲイリー・ジョーンズ。

宇宙人のDNAがモンスターの巨大化の原因という文字通り宇宙規模の設定ながら、世界は主人公たち数人が頑張ったら救えるくらい小さいというこの設定のミスマッチ感が堪らんのです。そしてZ級サメ映画並みに低予算丸出しの飛行機墜落シーンには大興奮で、しかも、その飛行機の行方を追っていた主人公たちのいる場所にちょうど落ちてくるという。なんたる幸運!!

そして作品の舞台となる軍の最重要機密のバーゲンセールな研究施設は、特ダネを狙う新聞記者の主人公たちが簡単に潜入できるくらいには設備がユルいのに、脱出しようとすると超重厚なセキュリティを発揮するの笑っちゃう。また、失った仲間の声をフラッシュバックで聞いて、突如ララ・クロフト並みの闘う女性に覚醒する眼鏡ヒロインは監督の変てこなロマンを叶える重要な存在なのでしょう。服装もララ様みたい笑。

序盤の数分の時点で出てくる、「地球に来て2年半になります」という明らかに精神を病んだ(と主人公たち皆が思っている)いかにも怪しげな夫婦が実は本当に宇宙人だったというツカみがとても面白くて、B級映画止まりにするのは勿体無いくらいのアイデア、、しかし中盤以降はその設定ごとスルーなのが清々しい笑。

巨大蜘蛛が人間の体に卵を埋め込む激キモ描写は意外にもリアルで良質。さては、飛行機の墜落シーンで節約した予算をこっちに使ったな!!噛まれた人間の口からめりめりと出てくるビジュアルインパクトも超キワモノで、キモければキモいほど好感なB級パニック映画で、ここまでキモいのは本当に素晴らしいと思う。

軍の地下施設を舞台に頑張ってパンデミックを阻止して、めでたしめでたし、というB級パニック映画によくあるスケール感かと思いきや、終盤にはなんと、超巨大グモが町を闊歩し、人間を襲いまくり本物の大惨事が起きるという最高の展開に。警察やSWAT隊員が総出で応戦するも全く手に負えず、死者が続出、、しかし、武器を探していた主人公のすぐ近くにたまたまロケットランチャーを積んだヘリコプターが!!すんごい幸運の持ち主!ヘリコプターアクションをキメたあと、ビルの外壁に登った巨大蜘蛛(キングコングのラストみたいだ、、)めがけてロケットランチャーをぶっ放し、さらにカッコよくキメるララ様風のヒロイン。最高の映画か(さあ食べな!餌の時間よ…!!)。

しかし田舎のキャンプ地に始まり、田舎のキャンプ地に終始していた同監督のデビュー作に比べると、2作目でこれだけスケールが大きくなってるのは、たいそう期待をされてた証だなと思う。この超ド級のB級映画にこれだけエキストラがいる時点で感動だし(みんな『モスキート』ファンなのかな?笑)。それに、どれだけ予算が限られててもモンスターの造形はケチらないの好き。最後のヘリコプターアクションもCGだとわかっててもけっこうな迫力があったし、こんなお馬鹿なことをこれだけ突き抜けてされたら気持ちいい!!
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