8Niagara8

カリスマの8Niagara8のレビュー・感想・評価

カリスマ(1999年製作の映画)
3.9
木を燃やすシーンは最早『サクリファイス』だし、内容的にも相通ずるものがある。
黒沢清的ニヒリズム。
始発点に犯人と人質を死なせてしまった過去。
この世システムの再構築を含め、人間世界の堅持を望みながら、むしろ終末に近づく。
加害性と自由。その両者も本来無垢なるものでもあり、しかしその肥大は極めて危険であるということ。
どちらも人間に本能的に深く結びついたものであるが、持て余してもいる。
そうした上に倫理観が乗っかってくるのかな。
生かすことと殺すことは同義的であり、この世には絶対的に善なる行為はあるはずもない。
そこまでそれぞれの台詞自体が大仰に意味を持たない故に、世界観が担保されたように感じる。
8Niagara8

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