このレビューはネタバレを含みます
モノクロの-1.0を観てから再度鑑賞。
水爆によって生まれたゴジラを、新しい科学兵器によって討伐するという…業を業で拭う、和製イソップ物語・寓話と呼べる映画だと言っても過言ではないはず…!
本多猪四郎監督の“民衆”をいかに撮るか。
被害者を集めた病棟で、被爆をした方々や、幼子が若い親を看取るシーン。芹沢さんの葛藤やラヂオからの歌声などなど…随所で胸に迫る描写があり、コレにただただ痺れる。
「ゴジラ」という怪獣映画なタイトルでありながら、描いているのは民衆だし戦争や災害や…、とにかく「コレを撮らねば…!」という想いがパワフルでした。
さらに、人々がゴジラへ立ち向かうシーン。
伊福部昭さんのゴジラのテーマが鳴り響くと、もう伝わってくる熱量が半端ない…。ゴジラの迫る足音、自衛隊の出動、人々の避難。答えるように、地に重たく響くようなメインタイトルの重低音。ヤバい。
聞けば、ゴジラの鳴き声も、伊福部さんが作ったんだとか。役者さんらへの熱量や適度な抑制も求められ、ほんと総合芸術ですよね。
1954年(公開年)のこの時代に、ゴジラとどう折り合いをつけるのか…その起承転結にひたすら気になっていたけど、“民衆”へのフォーカス。社会性と時代性。熱量。音楽。演出。葛藤。ジレンマ。覚悟。責任。
現在に生きる自分らは、じゃあどういう姿勢でやりくりしていこうかね?シンプルながら、改めてそんな事を考えさせられます。
あとは、原点を摘んでおくと、対比の指標になるので、シンゴジラや-1.0のやりたかった事が若干鮮明になって来ると言いますか。
情報を入れずに見る楽しさもあれば、情報を入れて見る広がりや深みも、やっぱ大事だなぁと、コレもシンプルながらしみじみ感じました。