いざわ

日本のいちばん長い日のいざわのネタバレレビュー・内容・結末

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

●あらすじ
1945年8月14日正午のポツダム宣言受諾決定から、翌日正午の昭和天皇による玉音放送までの激動の24時間を描いた名作ドラマ。大宅壮一名義で出版された半藤一利の同名ノンフィクションを原作に、橋本忍が脚色、岡本喜八がメガホンをとった。広島・長崎への原爆投下を経て日本の敗戦が決定的となった昭和20年8月14日、御前会議によりポツダム宣言の受諾が決定した。政府は天皇による玉音放送を閣議決定し準備を進めていくが、その一方で敗戦を認めようとしない陸軍将校たちがクーデターを画策。皇居を占拠し、玉音放送を阻止するべく動き出す。キャストには阿南陸軍大臣役の三船敏郎をはじめ、笠智衆、志村喬、加山雄三ら、当時の日本映画界を代表する俳優陣が集結。
(映画.comより引用)

●感想
観るなら今日かなと思い立って鑑賞しました。二度の原爆が終わりポツダム宣言受諾前後から話が始まり、玉音放送までのその後の24時間を描いた映画。途中で「疲れた…本当に長い一日だった…」と閣僚達がぐったりするシーンがあるんですけど、そこでまだ映画の半分。閣僚達と一緒に私もぐったりしました…。

とはいえすごく考えることが多くて好きなたぐいの映画でした。将校達や閣僚達のもったいぶった歩き方、軍の少佐の目力、何言ってるか聞き取れない(大声と早口すぎて)話し方等、70年近く前になると今とは違うことが多すぎてずっと発見の連続。当時はあれが当たり前だったんだろうな、本当にああだったのか、演技の常識がああなのかは分からないけど、ああいうどこか大袈裟な演技って今はやらない。

ドキュメンタリー調で進むから、演者さんが時々呟くセリフがドラマチックだとドキッとします。内閣総理大臣が「阿南(陸相)さんは暇乞いに来てくれたんだね」と呟くところとか、阿南さんの行く末を思って胸が苦しくなってしまった。ていうか当時は「死んでしまうだろう」とわかっていてもも止めないのか。今だったらなんとかして止めようとしちゃいますよね、一国の大臣なんだし…。

1960年代に公開されてるわけだから、演者・スタッフは全員戦争経験者のはず。昭和天皇も多分まだご存命なので天皇の顔がほとんど映されない。恐懼にすぎて、そして存命の天皇の「役割」を作るということへの気後れというか、時代への配慮みたいなものもこの頃まだ残っていたんでしょう。2015年版はガッツリ天皇もお顔が出るみたい。予告だけ観たけど2015年版はやっぱりかなりスマートですね。あの泥臭さとか、がむしゃらな熱量みたいなものがなくて…。
戦争というあの熱量、国がひとつになる一体感や万能感、生まれてから死ぬまでの意味や命の使い方が決まっている時代。その中で「国のために死んでいきたかった」って人は多いんでしょうね。その数倍「本当は国のためにな死にたくなかった」て人もいると思いますが…。

色々考えるきっかけになりました。2015年版も観てみたい。
いざわ

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