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ボーフォート -レバノンからの撤退-のmhのレビュー・感想・評価

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拠点(にした古城)から撤退するイスラエル軍視点。交戦シーンはなく、激しい攻撃から耐えるだけというレア設定づくしのエンタメ映画。
「味方/敵」が「いい/悪い」などには触れずに展開する。
激しい爆撃にあい、次々と仲間が死んでいく。
「ハート・ロッカー」のエンタメ抜きバージョンみたいなプロットもあった。
イッヌのチェックも終わって大丈夫だろと、気のいい爆弾処理兵が近づくと地雷が爆発して死んでしまう。このあっけなさにリアリティが詰まっている。
ほかの映画では悪者になっていることが多いイスラエル軍が主役というのも興味深かった。兵士たちはみな好青年だった。どんなに悪い国や集団でも、個々人は別なのだという当たり前のことに気づかせてくれるのがありがたかった。
古城の由来が十字軍にあることとか、もうみんなタバコ吸ってないとか、教育が行き届いているので戦争映画によくいるバカがいないとか、細部のいちいちが素晴らしい。
普通の若者が兵士になっているのは、徴兵制度を敷いているイスラエルならではとのことだった。
古城の爆破=脱出成功という完璧なクライマックス。
デジタルで撮影してるのか画面はチープなんだけど、内容は重厚という対比も良かった。
いやー面白かった。
mh

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