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天使が隣で眠る夜のsonozyのレビュー・感想・評価

天使が隣で眠る夜(1994年製作の映画)
4.5
ジャック・オディアール監督のデビュー作。

プリンターのセールスマン・シモン(ジャン・ヤンヌ)は同じ日々の繰り返しに疲れ果て、美しい妻ルイーズ(ビュル・オジエ)との関係も微妙のようだ。
ある日、街でミッキー(イヴォン・バック)という刑事から、同僚が怪我したため代理で車の中で見張ってくれとお願いされ渋々引き受ける。
指示通り車で待機していると突然銃声が。ミッキーは何者かに撃たれ昏睡状態となってしまうのだ。そんなミッキーに愛情を感じるシモンは彼を撃った犯人探しの旅に出る。

一方、ヒッチハイクをしていた賭博師のマルクス(ジャン=ルイ・トランティニャン)は頭の弱い青年フレデリック(マチュー・カソヴィッツ)と出会う。
賭博の借金返済に追われ、性格の荒い一匹狼マルクスのそばを離れようとしないフレデリック。二人は不思議なバディとして生活を共にするようになる。
やがて、マルクスの借金のため、二人はギャングの仕事を引き受けるようになってしまう。

ミッキーを撃った犯人探しのため、会社に営業だと嘘をつき前借りしながら取り憑かれたように各地を転々と回るシモンと、次第に危険な道へ入り込んでしまうマルクス&フレデリックという二つのストーリーがやがて交錯していく。

何とも微妙な関係となっていく男たち。
ゲイであることが明示されるミッキー刑事。
孤独を抱えるフレデリックはゲイの要素もありそうだが父親代わりの関係を求めているようにも見える。
そして初老の二人、やはり孤独を抱えていたシモンとマルクス。それぞれ、ミッキーとフレデリックと出会うことで、次第にゲイ的な要素も見え隠れしていく。
この男たちの微妙な心理・関係性の描き方が素晴らしい。

原題/英題『Regarde les hommes tomber / See How They Fall ≒ 見よ落ちていく男たちを』からのこのロマンティックな邦題(ここから持ってくるか〜)のセンスもグッドです。

ちょっとしか出てきませんがビュル・オジエ、やっぱり好き。笑
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