odyss

我が至上の愛 〜アストレとセラドン〜のodyssのレビュー・感想・評価

2.5
【もっと簡潔に】

牧歌劇の映画化。
牧歌劇というのは、西洋文化で羊飼いが登場人物となって文字どおり牧歌的な恋愛などの筋書きが展開されるものを言います。ここでは17世紀にデュルフェによって書かれた小説を、エリック・ロメールが――彼も高齢なので――最後の長編映画として監督したものです。

西暦5世紀の田園を背景として演じられる恋愛劇は、最初はそれなりに雰囲気があって悪くないなと思いながら見ていたのですが、後半、やや退屈してしまいました。この筋書きで言うと、もう少し短く作ったほうがいいのではないか。

特にセラドンの女装が、いかにアンディ・ジレが美青年とはいえ、ちょっと無理目。男としてはほれぼれするような美貌でも、女にはね。体つきからして違うし。

一方、アストレを演じるステファニー・クレイヤンクールは、美少女というには少し足りない感じ。もっと可愛い女の子、いなかったのかなあ。

古代を舞台とした他愛もないお話だからこそ、簡潔に、集中性を高めて作る工夫が必要なはず。古代の素朴さを表現するとは、そういうことでしょう。

老人はとかく話にしまりがなくダラダラしがちなものですが、失礼ながらロメールもそうした弊を免れることはできなかったのでしょうか。
odyss

odyss