半兵衛

小都会の女の半兵衛のレビュー・感想・評価

小都会の女(1936年製作の映画)
3.1
『サンライズ』では都会への憧れを募らせる夫に翻弄される田舎娘の妻を演じていたジャネット・ゲイナーが、本作では都会に憧れる田舎娘を演じているのが興味深い。そんな幸薄そうな顔立ちから色んなメロドラマで翻弄される女性キャラを演じてきた彼女らしく、都会から来た医者のロバート・テイラーに酔った状態で強引に結婚の手続きをされ、酔いが醒めたテイラーが世間体をおもんぱかって半年だけの形だけの結婚にされても健気に旦那や向こうの両親に尽くす姿が良く似合う。

話の内容は偽の恋が本物の恋に変わるというスタイルの典型的なパターンだが、ヒロインが男の気まぐれに振り回されている状態なのであまり男のほうに共感できず現代のドラマだったら男をぶん殴って制裁したほうが居心地がいいかもと思ったりする。ただ医者の両親が気の良い人たちで、彼女が心を許す状況にある程度の説得力を与えている。

そんなメロドラマよりも序盤のイカれたやつが大暴れするコメディみたいな序盤の展開が面白かったかも、田舎の城で開催されるパーティーに集まるやりすぎな都会人のヒャッハー描写に爆笑したし酔っ払ったロバート・テイラーの暴れっぷりも可笑しい。あと人質や死体以外で車のトランクに乗っている人をはじめて見たかも。このスクリューボールコメディみたいな演出が後半も続いていたらまた面白くなっていたのかも。

中盤船での旅をする主人公二人を世話する笑ってはいけないシリーズでお馴染みの藤原にそっくりなアジア人が良い味を出している。

ラストはオチが見ているとはいえ結構強引、今だったらヒロインにビンタされてるんだろうな。
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