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アイズ ワイド シャットの10000lyfhのレビュー・感想・評価

アイズ ワイド シャット(1999年製作の映画)
3.5
中年夫婦の性願望をめぐっての危うい信頼関係と、妻の心理的挑発からの、夫の結実しない性の彷徨トライアルの 4日間。前者を外枠的に、後者をメインコンテンツ的に区切って描き、オーディエンスの印象に残るのは圧倒的に後者。しかし外枠があることで、非メインテーマに重きが置かれているような奇妙なはぐらされ感がある。それが俳優の表情や照明などの演出で増幅される、後期なほど濃いキューブリック味。アッパークラスの医師が下位カーストとなるような超上流社会のリアルとも虚構ともとれる裏パーティ、そこでの主人公向けプレゼンも終盤での説明を信じるなら茶番だったと解釈可能で、リアル vs. 虚構が重要なサブテーマ。OP/ED のショスタコのワルツ(OP ではラジオから流れるソースミュージックとなり劇中でトムクルがオフ)、仮面乱交パーティでの中世風シンセやアラビック風ソング、中盤から執拗に繰り返されるリゲティのプリペアードピアノの不安煽り単旋律など、キューブリックの選曲センスは最後までキレッキレ
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