ちろる

KOTOKOのちろるのレビュー・感想・評価

KOTOKO(2011年製作の映画)
3.9
塚本晋也監督で、Coccoで、そりゃほんわか観ることなんか出来るわけないと分かってた。
昔から、中学生のころからずっとCoccoの魂から奏でる歌声が大好きだった。
歌姫と呼ぶにはあまりに軽々しくて、まるで神技のような彼女の歌い方に引き込まれていた。
彼女の抱えるものすべてを理解してたわけではないけれど、彼女の歌にはその生きることの辛さがたくさん詰まっていて、それでなんとなく分かってたつもりでいた。
けどなんも分かっていなかったのかも。
彼女の世界は思ったよりも苦しみに満ちていた。
死にたいから手首を切るのではない。
生きててもいいのか神様に問うために手首を切る彼女のか細くて繊細な体はいつでも消え入る寸前。
観るに耐えないシーンも沢山あるのだけど、表現者として卓越したCoccoと、塚本晋也の奏でる歪んだ世界は少しだけ私の視野を広くしてくれた。
ずっと、苦しくて悲しいお話だけど、こんな風に彼女のように苦しむ人たちがらいるのだと胸に刻むことは大切なのかもしれない。
正直こういうお話は苦手、大好きなアーチストCoccoを通してなければ通過しなかっただろうから、この機会があって良かったのかも。
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