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パリのランデブーのwisteriaのレビュー・感想・評価

パリのランデブー(1994年製作の映画)
4.5
エリック・ロメールへの私淑で知られる濱口竜介監督の新作オムニバス映画『偶然と想像』のインスパイア元ということでAmazon primeで予習。年内で配信期限が切れそうです。

「7時のランデブー」
「パリのベンチ」
「母と子1907」

三本の短編オムニバス形式だが、これに偶然と想像というタイトルをつけても良いくらい。あっけらかんとした「偶然」が物語とまでもいかない恋愛会話劇における登場人物達の関係性に細波のような影響を及ぼしていく様を繊細に追っていく。個人的には2話目の関係性が笑える上に一面リアルで好き。「彼がいなければあなたも必要ないわ」🤣

エリック・ロメール監督1994年の作品で、名匠ネストール・アルメンドロスと『海辺のポーリーヌ』(1983)などを撮っていた頃の制作スタッフとは違っている。撮影のディアーヌ・バラティエによる手持ちカメラでおさめるパリの美しい景観と意外と忙しなくも可愛いらしい役者陣のちょこまかした動きがむしろヌーヴェル・ヴァーグ時代の瑞々しさを彷彿とする。編集は香港系のマリー・ステファンで、彼女が濱口監督に短編連作のアドバイスをしたとのこと。
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