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夏時間の庭のleylaのレビュー・感想・評価

夏時間の庭(2008年製作の映画)
3.7
オルセー美術館開館20周年記念として作られたオリヴィエ・アサイヤス監督作品。

本物のアール・ヌーボーの工芸品や家具、コローやルドンの絵などが使われており贅沢。

盛り上がりはなく淡々とした作風です。

夏の庭、子供たちがが久しぶりに集まった母の75歳の誕生日。ジュリエット・ビノシュ演じる長女をはじめ3人の子供たちはそれぞれ家族を持ち、離ればなれに暮らしている。

母が住むのは亡き画家の叔父ポールの邸宅。緑に囲まれた美しい庭と屋敷、家の中には絵画やアール・ヌーボーの工芸品などの美術コレクションが置かれている。

母は自分が死んだら、美術品を売却して欲しいと息子に頼む。

その後、母が亡くなり、相続税や思い出の詰まった家を売るかどうかなど現実的な会話のやり取り。そして、相続税を回避するため絵画や工芸品はオルセー美術館に寄贈することになる…。

長年仕えたメイドのエロイーズは、誰もいなくなった屋敷にそっと戻って懐かしみ、主人の墓に花を添える。

もうすぐ売却される家で、孫(長男の娘)が仲間たちとパーティを繰り広げる。現代っ子の様子に、時代の移り変わりを感じ悲しくなったけど、孫がお婆ちゃんとの思い出に浸るシーンがあったのは唯一の救いだった。
時代は移り変わっても、人の想いは受け継がれるのかもしれないな。

花器は花を飾ってこそ、美しく輝く。
机は使ってこそ、作家の思いが引き立つ。
オルセー美術館に飾られた花器や机は、魅力を失ったただのモノに見えた。

美術品寄贈はこんな風に行われるのかと興味深い一面も。
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