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愛の世紀のsonozyのレビュー・感想・評価

愛の世紀(2001年製作の映画)
3.5
『愛の集会』からの(まったく関係ありませんが)似た邦題のゴダール作品。
モノクロの前半とカラーの後半の二部構成。
1部では、エドガーという男が愛の4つの局面(出会い/肉体的な愛/別れ/再会)を、青年期、成人期、老年期の3世代のカップルによって描く作品(小説、演劇、オペラ、映画のいずれか)を企画し、助手のフィリップと共に、候補者と面接を重ねる。
成人期について揺れるエドガーは、2年前に出会った女性を思い出し、見つけ出すが、叶わぬ夢となる。(どうやら企画も頓挫する)

2部はその2年前。第二次世界大戦時のレジスタンスの研究をしていたエドガーはある歴史家をブルターニュに訪ねる。そこには歴史家のレジスタンスとしての過酷な時代の話をジュリエット・ビノシュ主演で映画化するという「スピルバーグ・アソシエイツ(笑)」の代理の米国務省の男が契約に来ていた。その契約内容に物申す、歴史家の孫娘ベルト。彼女が1部でエドガーが配役を希望していた女性なのだ。
歴史家は「レジスタンスには青年期も老年期もあったが、成人期だけがなかった」と語る。
その妻は今も戦時中の暗号名を使う。
この最後のパートが難解ながら叙情的でもあります。

ここのジャケ写は分かりにくいですが、上のモノクロ部分は、エドガーが「再会のシーン」のために探してきた中年男がシャワー室に入り、青年期に起用した男女が彼の背中に手を添えるという撮影かリハのシーン。下のカラー部分が2部の最後にエドガーがパリに戻るためベルトの運転する車で駅に向かうシーンの直後の彼のモノローグと海がコラージュされた美しいシーンです。
この車の中でのベルトとの会話のやり取りが、「成人期」を演じる候補に思い出す存在であったことを感じさせました。
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