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夜の素顔のJimmyのレビュー・感想・評価

夜の素顔(1958年製作の映画)
4.3
★二度目は、2020年10月8日、角川シネマ有楽町にて鑑賞。
★初見は、2013年4月20日、神保町シアターで鑑賞。この時は、未ソフト化作品だった。


クレジット順では、「京マチ子と若尾文子」のダブル主演。
京マチ子は冒頭から最後まで出演しているが、若尾文子は中盤から出演。ただ、若尾文子が登場してからは二人の女性同士の執念燃えるバトルが見もの。
また、序盤はモノクロだが、その後はカラー映画なので綺麗な若尾文子が見られる。

また、この二人以外で存在感を出していたのが、浪花千栄子。京マチ子の元育ての母親だが、昔のネタ(花街にいた件)でユスリに来る。こういう金にこだわる役をさせたら浪花千栄子の右に出る者は居ないのではないか。金に執着する姿は、映画『女系家族』同様に楽しい(笑)

冒頭はモノクロで、1919年の南方基地で慰問踊りをしている京マチ子から始まる。
爆撃されながらも根岸淳と抱き合う場面は、可笑しい。
南方の敵機襲来シーンは「特殊撮影=的場徹」クレジットがあったので、さすが迫力あり。

そして昭和22年東京、ある舞踊家の弟子になりたいと京マチ子が頼む場面では「古い伝統は滅びない」という名言。その場面が終わると、昭和28年。そこから映画はカラー映像になる。
師匠を引き立てる素振りを見せながら、師匠のパトロンを体で奪って、京マチ子は破門されるが奪ったパトロンに金を出させて「菊陰流の家元」となる。
この菊陰流での弟子が、若尾文子。(ようやく登場!(笑))

京マチ子は、戦場で抱き合った根岸淳と再会し結婚するが、しばらくして若尾文子に奪われる。
『自分が師匠にしたことは、弟子にもされる』という京マチ子のイタイ展開。

ここで、京マチ子の菊陰流一同が地方巡業をする場面では、「画面分割シーン」となるが、これがデ・パルマのように直線で分割するのではなく、境界線をぼかした(重ねた)分割場面。吉村公三郎監督の工夫が見られた。

後半は、京マチ子と若尾文子の『したたかな女同士の壮絶バトル』が素晴らしい。
京マチ子の夫(根岸淳)を若尾文子が身体で奪うだけでなく、心臓弱い京マチ子を怒らせて入院させる若尾文子。
あちこちの場面で二人の確執が見られるが、若尾文子が思い通りに展開した場合に「ほくそ笑む」シーンが好き。

製作:永田雅一とクレジットされただけあって、金のかけ方が格段に違う大映作品の力作のひとつである。
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