菩薩

夜風の匂いの菩薩のレビュー・感想・評価

夜風の匂い(1999年製作の映画)
3.6
ガレルお得意のジュテームなお話。革命と情事、言うなれば『恋人たちの失われた革命』の後日譚的な話だろうか(順番逆だけど観た順がそれなもんで)。ガレル大好きな階段昇降シーンから始まる映画、最初の情事のシーンで地味な方がいいからとドヌーブに髪を上げさせ眼鏡を掛けさせる、おそらくこのシーンにインスパイアされ誕生したのがかの有名な「地味子は隠れ巨乳」シリーズだと思われる(違うと思う)。その後は緑の中を走り抜けてく真っ赤なポルシェが存在感を示す訳だが、残念なことに交差点で隣の車とミラーをこするシーンは無かった。革命後に生きる芸術家と彼に憧れる若き男、革命は芸術家達にとって最高の麻薬であったと、これは若き男との不倫に身をやつすドヌーブにも同じ事が言える様で、同じ価値観とその後を生きる苦悩を共有する同世代とあっては流石にSEXに持ち込むまでがこれまた簡潔で素晴らしい。愛と孤独、若さと老い、焦燥と絶望、ありきたりなテーマながら構えたところにしっかりボールを放ってくれるガレルの小宮山もびっくりの正確無比なコントロールには眼を見張る物がある。ただ、ずば抜けて面白いかと言われれば…。乳の一つも、あるじゃ無し。
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