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ヤンヤン 夏の想い出のwatageのレビュー・感想・評価

ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)
4.3
90年代の空気感を残す台湾で
ブルジョワな暮らしを送るNJ一家の関係性が静かにひび割れていくさまを
各々の視点で描く。
一家の仲は悪くはないけど
どことなく希薄な関係な気がした。
一旦綻びが起こると、次第に一人一人の悩みが表出して、ギクシャクしてくる。

8歳の末っ子ヤンヤンはどこ吹く風で
自由な振る舞い。
彼が登場するとほっこりしたり、面白い事を話してくれたり、何かやらかしてくれそうという期待をしてしまう。
時折、弟夫婦やお隣の一家との関わりや問題も挟まれ、雲行きの怪しさが
一同に降り掛かってもきますが、
ヤンヤンの存在が清涼剤となっていました。

尺が長いけど、群像劇として、視点の入れ替わりが上手くシームレス。飽きが来ずに話を追えた。画作りも丁寧で、景色を大事にする構図が魅力。所々挿されたビビットな色味がスパイスにもなっていたように思います。

試練が訪れた際には
ヤンヤンなりの捉え方があって
彼の成長を予感させる言動に、
眼頭が熱くなりました。

劇中、人生は悲喜こもごも
だと言っていたのはその通りだけど、
複雑に考え過ぎず
簡単に考え直す事が必要。
静かに語りかけてくるような、良き作品でした。
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