昼行灯

天使の恍惚の昼行灯のレビュー・感想・評価

天使の恍惚(1972年製作の映画)
3.7
学生運動のエネルギーと虚無両方を捉えた作品。マルクス主義に傾倒しながら革命を実行しようとするけど、革命したいだけで目的も必要もないから、残るのはやりどころのないエネルギーを持て余すためのセックスだけだね…こんなことに警察を出動させて、死者も出し、街も破壊させていいご身分だね、、下部構造からの変革をとか言いつつ、ブルジョワ部屋が拠点で毎回ホテル行ってるのキツいすわ🥹

とはいえ、若松孝二は革命を肯定するのではなく、その虚しさを描いているわけで。クライマックスで遂に国会議事堂に車ごと特攻するか?!と思いきや次のショットで富士山から少し離れた田舎の一本道で時限爆弾爆発させてるだけなのはワロタ。秋とか四季とか月曜日とかも正直言ってダサいよ笑
ラスト新宿の街を歩き続ける10月は、一匹狼の流れ者というよりは、大衆に埋没していく若者のように思えた。狂ったような即興ジャスがどんどん激しくなっていく中、特攻の失敗と自己の大衆化で急に映画が終わり、虚無が残る感じは、それ自体がセックスのようでもあった。濡場の喘ぎ方とリンチの阿鼻叫喚も次第に似ているように思えてきた。思うに彼らは若さゆえのあまりあるエネルギーを発散させたかっただけだ。セックスは獣的だから、思想に基づいた革命でエネルギーを発散させつつ人間らしくありたかったのだろう。ご迷惑な話だ。ゲリラ撮影のガン見する一般人の視線がそれを物語っている。
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