さりさり

ランボー 最後の戦場のさりさりのレビュー・感想・評価

ランボー 最後の戦場(2008年製作の映画)
4.0
観終わって、最初につけたスコアは2.8だった。
今までにないグロテスクな描写に、すっかりメンタルをやられてしまったからだ。
目を覆いたくなる残虐シーンに、身も心も震え上がった。
思わず、観るのをやめようかと思ったくらいだ。

軍事政権により、民族虐殺が平然と行われているミャンマー国。
そこに訪れたボランティア団体が、軍に拉致されてしまう。
彼らを救うべく、数人の救助隊と共に現地に向かうランボー。
追う者と追われる者、やがてそこは戦場と化す…。

前作から20年の時を経て制作されたPART4。
シルベスター・スタローンが自らメガホンを取った。
スタローンはこの映画を通じて、一体何を訴えたかったのだろう。

カレン族が軍から受ける非人道的な暴力行為が、あまりにもむごたらしく残酷で、見るに耐えなかった。
男たちは地獄絵図のようにいたぶられ、子供たちは虫ケラのように殺される。
女たちは屈辱的な暴力を繰り返し受け、結局命を奪われる。

狂った世界。

こんな事が、今も世界のどこかで実際に行われているというのか。
ここまで描き切ったスタローンの真意は何だったのだろう。

そう思った時に頭の中に甦ったのは、ランボー対ミャンマー軍の戦闘シーンだ。
それはまさに戦場。
首は吹っ飛び、体は真っ二つ。
手足は無惨に引きちぎられる。
飛び散る肉片、地面を覆う大量の血。
ランボーたちの手によって、悪人たちは次々と制裁されるのだ。

これはランボーの、そしてカレン族の「怒り」だと思った。
長い間虐げられて来たカレン族の激しい怒りが、今爆発しているのだ。
スタローン監督は本作で、その深い哀しみと怒りを訴えたかったのではないかと、やっと気がついた。

ただグロいだけのシーンではなかった。
これは弱者として迫害された者たちの心の叫び。
そう思った。

気がつくと、スコアは4.0に上昇。
「ランボー」というよりも「戦争映画」を観ているようだったが、これもひとつのランボーが歩んだ道だと感服した。

ムダに生きるか、
何かのために死ぬか、
お前が決めろ 。

ランボーにそう諭された気がしたけど、私はきっと無駄に長生きするんだろうなって思った。
ランボー、ごめんなさい。
さりさり

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