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真夜中のピアニストのakrutmのレビュー・感想・評価

真夜中のピアニスト(2005年製作の映画)
3.8
不動産ブローカーをしながらもピアニストを夢見る男性を描いた、ジャック・オーディアール監督の代表作となるドラマ映画。ジェームズ・トバック監督の米映画『マッド・フィンガーズ』をリメイクだが、内容は若干変わっているようである。

オーディションに合格するために久しぶりに再開したピアノを特訓しながらも不動産ブローカーとして悪事を働く主人公・トムを中心に、愛憎入り交じった父親との関係や、不倫をしている同僚の妻との関係などの豊かなストーリーは、ハードボイルドとしての質が高いと言える。フィルム・ノワールとは言えないまでも、ノワール的な映像も悪くない。なぜ突然ピアノなのかという疑問も湧かないわけではないが、こんな仕事に引き入れた父親への反発とピアニストだった母親への愛情からと考えれば不思議ではない。

悪事に手を染めているが悪人にはなれないというキャラの主人公にロマン・デュリスを配したのも、本作が成功した要因と言える。ロマン・デュリスを堪能するにはもってこいの作品だろう。同僚の妻を演じたオーレ・アッティカの色気と、若い頃のメラニー・ロランの美貌も楽しむことができる。
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