YYamada

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ちのYYamadaのレビュー・感想・評価

4.1
【ヒューマンドラマのススメ】
 ~映画を通じて人生を学ぶ

◆作品名:
グッド・ウィル・ハンティング
 旅立ち (1997)
◆主人公のポジション
心を閉ざす保護観察対象の青年
◆該当する人間感情 (24種の感情より)
 不信、畏敬、希望

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・ボストンに住む青年ウィルは、幼い頃から天才ゆえに周囲から孤立していた。だが、彼の才能に気付いた数学教授のランボーは、ウィルに精神分析医のショーンを紹介する。
・ウィルはショーンにしだいに心を開いてゆくが、彼の才能に気付いた政府機関や大企業が接近してくる…。

〈見処〉
①あなたに会えて、ほんとうによかった。
・『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』は、1997年製作のヒューマンドラマ。監督は『ドラッグストア・カウボーイ』の鬼才ガス・バン・サント。
・本作は天才並みの頭脳を持ちながら、幼児期のトラウマが原因で周囲に心を閉ざし非行に走る青年と、妻に先立たれ人生を見失った精神分析医との心の交流を描いた感動作。本作で脚本家デビューを飾ったマット・デイモンとベン・アフレックが見事にアカデミー脚本賞を獲得したことで話題に。また、孤独な精神分析医を演じたロビン・ウィリアムズも助演男優賞を獲得している。
・共演は、ステラン・スカルスガルド、ミニー・ドライヴァー、ケイシーアフレック。

②デイモンとアフレック
・近年も『最後の決闘裁判』で共同脚本を務めた、ハリウッドを代表する「ブロマンス」コンビのマット・デイモンとベン・アフレック。
・二人の出会いはマット10歳、ベン8歳のとき。ボストン郊外で2ブロックの隣接地に住む2人は、ともに教員だった母親同士が知り合いだったことから一緒に遊ぶようになる。高校に入ってからも俳優になるためのプランを話し合ったり、新しい友達がやって来ては出ていっても、二人はいつでも一緒だったそうだ。
・その後、デイモンは地元の名門ハーバード大学に、アフレックはロサンゼルスのオクシデンタル大学に進学した後も、2人の交流は続き、アフレックがクリスマスに帰郷した際にデイモンが見せたのが、40ページほどの本作の草稿。
・「これを一緒に形にしよう」と2人は約2年をかけて脚本を執筆。その第一稿を『スタンド・バイ・ミー』のロブ・ライナー監督が率いるキャッスル・ロック・エンターテインメントが映画化権を取得。
・ロブ・ライナーは、その脚本を「CIAに入りたくない天才少年のアクション・コメディ」か「天才と精神分析医によるヒューマン・ドラマ」のどちらかに内容を寄せるように2人に指示。
・しかしながら、その脚本は一向に映画化されず、アフレックは自身の出演した『チェイシング・エイミー』監督のケヴィン・スミスに相談。 スミスは「私は監督する勇気が無いが、この映画は美しい」とミラマックス社設立者のハーヴェイ・ワインスタインにその台本を読ませ、映画化権利を即決購入、再び映画化が始動された。
・2010年代の#MeToo運動で悪名の高いワインスタインであるが、誰も読まなくなった脚本にデイモンとアフレックが悪戯に入れた2人のゲイシーンを唯一指摘するなど、ハリウッドのメジャー俳優マット・デイモンとベン・アフレックを輩出した貢献も事実である。

③結び…本作の見処は?
◎:「天才のみが知る苦悩」と思いきや、その葛藤の要因は、多かれ少なかれ全ての人が抱えるもの。一概の青春映画でない煌めきが本作にはある。
◎: マット・デイモン、ベン・アフレック、ロビン・ウィリアムズらのパブリックイメージを決定づけたキャラクター醸成とキャスティングが素晴らしい——「演歌歌手はヒット1曲で飯が食えると同じようなイメージである」喩えは突飛だろうか?
○: エンドロール中に写し出される、ハイウェイを走るオンボロ自動車。その先には確かな希望が見える名シーン。

④本作から得られる「人生の学び」
・心を閉ざす理由は誰にでもある。真剣なの人を思えば、気持ちは通じ合う。
・自分自身の可能性を無駄にしない。
YYamada

YYamada