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アンネの日記のrumblefishのレビュー・感想・評価

アンネの日記(1959年製作の映画)
4.5
紛うことなき傑作。
結末は分かっているので、覚悟しながら見ることになる。
昔の作品なので目を背けるシーンは出てこないが、それでも十分置かれた状況の厳しさ、異常さは伝わる。アンネの言動や、ペーターの飼い猫など、おいおいって思うところはあるが、しょうがないよね。そもそも、あんな生活を強いられる事自体が異常な訳で。

見終わってもう一度最初を見てみたら、父親は乗客の中で一人だけ囚人服でトラックの荷台に乗っていて、隠れ家だった家に着いた時には平服に戻っている。もうそれだけで体験したことの悲惨さが伝わってくる。
そして、アンネの言葉。
あの様な運命をたどった人に、しかも実在の人物に言われたら、何も返す言葉はない。

“何かを信じるのは難しいわね。ひどい世の中だもの。でも、私は思うの。私と母の関係のようにきっと世界も変わる。いつか、すぐにではなくてもいつか必ず。こんな世の中だけど、私は信じている。人間は本質的に善だと”