健一

アンネの日記の健一のレビュー・感想・評価

アンネの日記(1959年製作の映画)
4.0
1959年 🇺🇸映画 モノクロ作品。

第32回アカデミー賞
助演女優賞(シェリー・ウィンタース)
撮影賞、美術賞 受賞。
作品賞、監督賞、助演男優賞
作曲賞、衣装デザイン賞 ノミネート。

BSで放送していたので録画して鑑賞。

ずっと前から観たかった作品。ようやく。

1942年。第二次世界大戦中。
オランダ🇳🇱のアムステルダムにも欧州各国に侵攻するナチスの影が迫っていた。
反ユダヤ人政策が進むなか 13歳の少女アンネを含むフランク一家もナチスからの召集を受ける。
だが、父オットーは友人であるミープの事務所に一家揃って潜伏。友人の支援に助けられ 事務所が営業中の日中は物音ひとつ立てられず、長く辛い『耐久生活』を続けるが・・・

見ていてとても疲れました(いい意味で)。
過酷な環境でも明るい未来を信じてその想いを日記に託す13歳の多感な少女。(希望)
足音ひとつで震える生活。いつまで続くか分からないこの密室生活。苦悩の日々。(絶望)
少女から大人へ。人を愛することを密室の中で開花するアンネ。(希望)
ついにやって来てしまうその瞬間。(絶望)

サイレンに怯える。
『外の空気を吸いたい。』
『タバコが無くて おかしくなりそうだ!』
2年以上もの間、一歩も外に出られない。
どれだけ辛い日々だったか。
ホントに見ていてツラい作品でした。
家族だけならまだしも、隣人夫婦、見ず知らずの医者まで!
小さな隠れ家に2年以上!
戦闘シーン、殺戮シーンもないのに こんなに辛く苦しい戦争映画は初めて観たかもしれない。

ただこの作品はそれだけでは無い。
どんな過酷な状況でも決して希望を失わない。
新年には小さなケーキ🧁を小さく切って皆で分け合い祝う。
ラジオ📻を支給してもらい、そこから流れる音楽で静かにダンスするアンネと父。
『希望を奪うことは誰にも出来ない!』
「ショーシャンクの空に」と同じテーマだ!

迎えてしまう 悲しいラストには 涙が溢れる なんて感情を遥かに超え 身体中が硬直してしまった。

本作の過酷な設定は今となっては やはりウクライナ🇺🇦でシェルターの中で何週間ものあいだ、苦しむ市民の人々の姿と重なってしまう。
70年以上も前のアンネの苦しみを現代になって味わっている人々が この地球上にいるなんて・・・

『平和』のありがたさ を改めて感じさせてくれる名作。

「ショーシャンクの空に」に感動されたかたに 是非とも観てほしい作品。
健一

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