まさなつ

馬のまさなつのレビュー・感想・評価

(1941年製作の映画)
3.7
「松山善三・高峰秀子特集」@シネヌーヴォにて

この映画は、10代の高峰秀子の代表作というだけでなく、製作主任に監督デビュー前の黒澤明が名を連ね、馬のシーンなどの演出を実際に担当したことでも有名ですね。
また、この作品で高峰秀子と黒澤明が恋仲となり、結局、結ばれなかったということもありました。
いろんな意味で興味深いこの作品を、まさか劇場で観られるとは!シネヌーヴォさんに感謝です。

日本の四季を背景に、馬を育て、競売に出す貧しい一家のドラマ。一番高く売れるのは軍馬として軍が買い上げる時というのが時代を感じさせます。舞台は岩手県。戦前の作品ながら2時間あり、3年をかけたそうで、思った以上に大作。戦前の暮らしの風景が丹念に描かれ、退屈なところもあるけど興味深い。ただ、古い映画のため特に室内シーンは暗くて見えにくいし、画面や音の途切れは仕方ないとして、東北弁が聞き取りにくいので、会社帰りの身には途中、ちょっと辛い時間もありました。

それでも、10代の高峰秀子の馬への愛がとても可愛いらしく、出産シーンの家族みんなの表情が愛らしいです。貧しくはあっても明るく、観ていて気持ちが和んできます。観られて良かった〜^_^

(余談)
子役から映画に出ていて、すでに人気女優だった高峰秀子と、まだ助監督だった黒澤明では釣り合わないと高峰家からの反対が強かったらしいですが、熱を入れていたのは高峰秀子の方だったとか。その後の二人の輝かしい映画人としての歴史を考えると、もしあの時二人が結婚してたら、日本映画の歴史はどう変わっていただろう?
また、馬のシーンの演出に黒澤らしさが出ていたかと言えば、はっきりは言えないけど、黒澤映画に馬は欠かせないので、そのルーツにはなっていたかなとは思いました。列車と並行して走る馬のシーンはダイナミックでしたし。
そんなことを考えながら観てたので、より楽しかったです。欲を言えば、デジタルリマスターして欲しいです。
まさなつ

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