ないで

インテリアのないでのレビュー・感想・評価

インテリア(1978年製作の映画)
3.5
レナータ、ジョーイ、フリン三姉妹の母イヴは成功したインテリアデザイナーだったが精神を病んで久しい。父のアーサーはイヴの援助によって法律家となったものの、現在は離婚を望んでいる。イヴは完璧にインテリアを仕上げたタウンハウスで自殺を図り、アーサーは家族が集うビーチハウスに再婚相手を連れてくる・・・

例えば娘の体型や服装に細かく口を出してしまう母親というのは、現実にもフィクションの中にも数多く存在する。イヴが作り上げる完璧に抑制されたインテリアの美しさは、そういった批評的な母の視点の完全版みたいなものなのだろう。

姉妹の中で最もイヴとの結びつきが強い次女のジョーイは、女優としても作家としても才能に欠けるという設定。しかし才能とは誰の評価で決まるのか。生活のあらゆる面にイヴからの介入を許してしまっている彼女は、自分で自分に足かせをはめているような状況なのかも知れない。そして繊細な彼女の世界は、派手な装いをした義母の登場で崩壊する。

ベージュやグレーを基調としたイヴのインテリアやファッションは洗練を極めていて本当に素敵なんですけど、後半ケバ目なパールさんが登場すると心底ホッとするし、余生は彼女と暮らしたいパパの気持ちはすごく分かるわーと思いました。正直ウディ・アレンがこれを撮らなくてもという気もしましたが、ラルフローレン的洗練と創造的才能の相剋について何か思うところがあったのだろうかなどとも思いました。
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