edashun007

グラン・ブルー/オリジナル・バージョンのedashun007のネタバレレビュー・内容・結末

1.3

このレビューはネタバレを含みます

父にオススメされて見ました、何て言えばいいのでしょう。

ビジュアルや音楽から主人公とイルカ/海の間に存在する絆を繋げる「自然の偉大」さを感じることができました。
特に主人公がベッドにうつ伏せの状態で天井が海のように青くなり、主人公が宙に浮くシーンは印象的でした。
ジャン・レノのキャラも愛想があり、誰もが好きになれる登場人物でした。

ただ、この作品の最大の問題は主人公と彼の彼女の関係です。(ネタバレになりますが、)最後のシーンは、主人公のイルカへの愛が彼女への愛情よりも上回り、イルカと共に深海へと泳ぎ続けるところで幕を閉じます。作品を振り返ると:
-エンゾとマイヨールの友情とそれを取り巻くフリー・ダイビング選手権
-マイヨールと彼女との恋愛関係
-マイヨールのイルカ/海からへの愛
が作品の主なストーリーラインになります。
この3つの要素を主人公は生活する上でうまくバランスを取れない、そのような「葛藤」があれば最後のシーンはよりパワフルなエンディングになったと思います。しかし本編では淡々とエンゾの死やマイヨールが夜中に一人で海に泳ぎに行くシーンを映します。そのため、マイヨールと彼の彼女の美しさ(二人とも鼻が高く、イルカっぽいところがあるのは否めない、)に見惚れてしまい、それ以下もそれ以上の気持ちを抱くことができませんでした。リュック・ベッソン監督はあえてそのような描写を通して登場人物の感情を視聴者なりに解釈させることを狙ったのかもしれません。しかしながら、それに応じるクレバーな部分が脚本にあったかというと、なかったのではないでしょうか。黒沢清監督の『カリスマ』などと比べてしまうと、リュック・ベッソン監督の狙いは不十分、あるいは薄かったというのが正直なところでした。

やはり、僕としてリュック・べソン監督で一番好きなのは『ニキータ』です。スタイルも抜群で、脚本にもクレバーなところが隅々に存在するからです。

あと父にせっかくお勧めされて見ましたが、残念ながら十分に楽しめる作品にはなりませんでした、すいません。
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