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エレファントの10000lyfhのレビュー・感想・評価

エレファント(2003年製作の映画)
3.0
アメリカの高校で、生徒 2名による銃乱射事件が発生した 1日(乱射犯の生徒の視点では数日前から)の、複数の生徒の視点による校内風景。カタストロフィに至る前は、監督のシグネチャである定点カメラで早回しした空や、歩く人物を主に背後から追う長回しが多用された、アンビエントなランドスケープ映画。同一シーンが複数の視点で繰り返され、観客は特定の誰かに感情移入することなく、全体を俯瞰させられる。写真部の暗室での異性バディ間の感情の機微がいい感じな一方で、いじめや過剰なダイエットなど、ティーンライフの負の側面が痛い。いじめの放置に加え、PC の殺人ゲームや、コンテクストなしで目にしてしまうナチスプロパガンダ映画などが事件の遠因として示唆される。教育や銃社会について考えさせられるが、個人的にはいまひとつ刺さらず。劇伴は、ベートーヴェン月光やジャズっぽい曲にアンビエントなフィルタをかけ、乱射犯の生徒が弾くつたない月光やエリためともども、映画に沈静した雰囲気を漂わせる
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