戦争の狂気を告発した作品は数えきれないといっていいほどありますが、それは時に悲劇だったり、時に哲学的だったりします。
この作品はそれをコメディにして見せた。
それもかなり辛辣でシニカルなコメディに。
イタリアの小島の米軍空軍基地。
米空軍爆撃隊員の主人公ヨサリアンが、建物から出てくると何者かにナイフで刺され重体に陥る。
彼はベットの中で爆撃隊に入ってからの様々な回想をする。
この連隊にいる連中は将校をはじめまともじゃなかった。
仲間のパラシュートを盗んだりしてドイツ軍相手に商売をして、遂には軍内部に会社まで作ってしまう者。
死人として扱われる軍医。
早く除隊したいために墜落の訓練をする者。
爆撃が成功するたびに除隊に必要な出撃回数を増やしていく将校、
などなど。
それらのものに負けじと、ヨサリアンは狂ったふりをして除隊を申し出るが、除隊を申し出るということは正常だからという理由で除隊は許可されない。
そんな、いろんなことが、主人公の回想の中で過去に行ったり未来に行ったり。
物語としては面白いのですが、この時空を継ぎ足した構成がややわかりにくい部分があり、ダジャレを駆使したアメリカンジョークが多いのも少々困った。
裸で島(?)の上でパフォーマンスしている兵士を、飛行機の翼で真っ二つにしてしまうシーンは笑うシーンだったのかな?
ジョン・ヴォイトやアンソニー・パーキンス、アート・ガーファンクルにオーソン・ウェルズと、キャストはなかなか豪華。
何回か繰り返し見れば、より面白さが増してくる作品のように思いますが、同じ軍隊風刺コメディなら、『M★A★S★H』の方がストレートで好きです。
マイク・ニコルズ監督、技巧に溺れちゃったね。
オープニングの夜明け前の山間から朝日が昇ってくるシーンは素敵でした。