三四郎

ことぶき座の三四郎のレビュー・感想・評価

ことぶき座(1945年製作の映画)
4.1
初公開が1945年6月28日。
あと2ヶ月で戦争が終わるというころ。日本の大都市はどこも焼け野原だっただろう。
そんな時に、いやそんな時こそ、それでも恋愛メロドラマを製作した、それも一度結ばれなかった二人が、最後は結ばれハッピーエンドになるという…!
いつの時代も、どんな時でも、人々が求めるもの、映画人が作りたいもの、映画人というより松竹の製作陣が作りたかったものは、恋愛メロドラマなのだろう!

さて、高峰三枝子が結婚した男は山っ気があり、それに悉く失敗し借金をこさえたまま家を飛び出し、今はどこかで落ちぶれくだらぬ女と暮らしているということだが、そんな筋を戦時中によく検閲官が許したものだ。もしかすると、この映画は娯楽に飢えている国民や兵士のために、政府や軍が要請して松竹に作らせた作品かもしれない。

まぁたとえそうであっても、
高田浩吉と高峰三枝子という和装の似合う美男美女がこの映画をかけがえのないものにしてくれている。今から考えると戦争末期というあの時代に、軍事色の無い、一人も軍人が出てこない、軍服姿が見えない、ロマンスを中心に置いた映画を製作したということは実に偉大だと思う。
舞台を本州ではなく「北海道」(釧路)としたことで、製作側も観客側も「夢」が見られたのかもしれない。北国の幻想を描けたのかもしれない。

ずっと観たかった作品!観ることができ本当に嬉しい!
アップアップアップで抜かれる高峰三枝子の美しさに乾杯!
三四郎

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