ロード・オブ・ウォーという言葉には、『戦争の支配者』という意味がある。
今作は、武器商人を主人公にしたノンフィクションに基づくフィクション映画であり、真剣に語られるべき作品だとは思うが、映画自体はエンタメ感溢れるものになっていて軽い感じで鑑賞可能。
ニコラス・ケイジ演じる主人公は、ロシア軍の余剰兵器の横流しを受け、それをアフリカの紛争地帯に売ることで、莫大な利益を上げて富を得る。
しかし、人殺しに使われる道具を売ることは、自分が直接手を下していないにしても、人の死を招く現実に加担しているとも言える。
そのことに対しては、主人公も多少なりとも罪悪感を抱くわけだが、それでも己の私欲を優先してしまう様は、人の持つ他者に対する不寛容さを痛感するところだ。
人が死んで儲かるこの現実を、この世界の仕組みを、どう捉えるか・・・。
アンドリュー・ニコル監督の作品は「ガタカ」や「TIME」といい興味深いテーマやストーリーを備えたものが多くて、いつも楽しませてくれる。
「ロード・オブ・ウォー2」も期待してる。ニコラス・ケイジもそろそろ見納めになると思われるので、目に焼き付けたい。