似太郎

勇者の赤いバッヂの似太郎のレビュー・感想・評価

勇者の赤いバッヂ(1950年製作の映画)
4.6
ジョン・ヒューストンの中でも隠れた人気のある作品。たまにこのような「異物」がフィルモグラフィー中に混じっているのがこの監督の特徴なのかも。🤔📖

南北戦争を題材にした映画には他にも『コロラドへの道』や『グローリー』などがあるが、本作はハリウッド的なヒロイズムを敢えて否定した実録調の作りで終始淡々としたムードがある。突然兵士がバタッ、ドサッと死ぬ描写がどことなく不条理な印象を受ける。全体的に無機質でニヒルな感じ。

そういう意味では大味な戦争映画とは対極にあるロバート・アルドリッチの『攻撃』やダニス・タノヴィッチの『ノー・マンズ・ランド』にも近いリアリズムと不条理感が入り混じったアートっぽい作風で、この監督の中では『黄金』よりも面白いと思う。

イケイケドンドンな戦争映画なら沢山あるけど、このような異色作(尺が69分…)もたまにはいいじゃないか!と思わせる端正な画作りとスペクタクル満点な戦闘シークエンスに魅せられてしまった一作。文学通のヒューストンだけに、幾何学的ムードの漂う怪作になっている点が個人的には嬉しい。
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