「ファンが求めるのは日常を忘れる体験だ。未知の領域につれて行こう。未体験の才能を見せよう」
本作は、マイケル・ジャクソンが急死する直前まで行われたライブリハーサル映像を繋いだドキュメンタリー。
一切の妥協を許さないマイケルのカリスマ性と、節々に溢れるユーモアや優しさが愛おしい。
見どころはマイケルだけではない。
「世界中の才能を集める」と謳われたオーディションで選抜されたバックダンサーたちは準主役と言える。
憧憬するマイケルとのパフォーマンスを実現するため、各々が想いを乗せて練習に励む。
だが、マイケルが帰らぬ人となり、その目的は叶わなかった。
その意味で、ここまでやりきれないドキュメンタリーはない。
しかし我々は、残されたこの映像にそんな彼らが見せようとしたパフォーマンスの一端を見ることができる。
マイケルに見えていた未体験の領域には届かなくとも、彼らの才能や想いはたしかにこの映像に残っている。
