はる

劇場版アニメ 忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段のはるのレビュー・感想・評価

4.6
がっかりしてメソメソしてどうしたんだい?


忍たま乱太郎は、とにかくお約束が多いんですよね。

⚪︎キャラ登場場面はフルネームと学年紹介をする
⚪︎一年は組の良い子のみんなは、実戦経験豊富な為実戦に強い
⚪︎ひえたはっぽうさいは頭が重い
⚪︎伊作は不運
⚪︎しんべえは食いしん坊
⚪︎きさんたはナメクジ大好き
⚪︎土井先生は、いつもは組のみんなに苦労させられている
⚪︎土井先生の武器はチョーク
⚪︎山田先生は女装が下手
⚪︎滝夜叉丸先輩はナルシスト
⚪︎武器に変なあだ名をつける先輩が多い

もっとありますが、このお約束をなるべく沢山取り入れているのがまず凄い。キャラが多すぎるのもこのシリーズの魅力ですが、なるべく沢山のキャラを登場させ、それぞれに活躍の場を与えている脚本の構成力が随一です。

忍たまの魅力のひとつである、当時の忍術や戦術のリアルな描写もちゃんとあり、歴史の勉強にもなります。

かつ忍たまの世界って、当たり前のように年長者が年少者に優しいし、当然かのようにフォローしてくれる。そもそも一年が1番派手な柄の制服なのは、年長者である先輩が一年生をいざというときに守るため、なんですよね。

忍術を身につけ、自分の身を自分で守られる先輩の制服が地味な色なのも、そのためなのです。忍たまの世界では、年少者は守られるべき存在なんです。

しかも忍たまの先輩や先生は、ちゃんと一年にもチャレンジする機会を与えてます。失敗したとき危険なときだけ、力を貸してくれる。ヒントを与え、再チャレンジできるチャンスを与えてくれる。

それは珍しくないから、誰かからめちゃくちゃ称賛されることは決してない。だからこそ、そんな描写はいたるとこにあるし、さりげなく描かれる。は組がのびのび成長するわけだ。

優しい世界だなと思います。戦が尽きないので、実際は危険と隣り合わせな時代ですが。

なおかつ忍たまってコメディなので、ギャグに前向きだったり、なぜか突如ミュージカルはじめたりする。自由気ままに動くキャラがとても生き生きしてて元気でます。

忍たまが持つ良さを、短い時間で余すことなく描写し、成立させている。それがこの作品の素晴らしさですね。アニメシリーズ映画作品としては、まるで教科書のようなクオリティの高い映画でした。
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