リミナ

ファイト・クラブのリミナのレビュー・感想・評価

ファイト・クラブ(1999年製作の映画)
3.7
生の実感が得られるここは夢か現か。

一見バイオレンスな描写が目立つが、人生の負け犬でも本気で何かに取り組む、理想に近づくために行動に起こせといったメッセージ性も秘めいているように思える。

正直なところ、ファイトクラブの創設辺りが一番ワクワクさせられた。普段は関わりがない街の男たちとは裏で拳を交えて繋がっている。
中盤以降は段々と物語の規模が大きくなり、この物語は一体どこに向かっているんだとなった末に冒頭シーンに繋がる。やや置いてけぼりな感覚は劇中の主人公そのものかもしれない。
「見知らぬ誰かに喧嘩を売ってわざと負ける」宿題のグダグダしたシーンは却ってリアリティがあって面白かった。

映像的には暗がりのシーンが多い中で、構図やライティングが決まっていて良かった。
また本作の特徴の一つが劇中で触れられているサブリミナル。画面から目を離していなければ、初見でも「おや?」となる。特にラストシーンはこれがやりたかったんだろうなという清々しさえある。現代では実現できない仕掛けなだけに、公開当時の劇場の様子が気になるところ。

本作の公開は1999年だが、資本主義への反抗というテーマは現代でも色褪せない。
大人よりは学生の頃に観るとより衝撃が大きそうな気もする。
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