NAO141

ボーン・アルティメイタムのNAO141のレビュー・感想・評価

ボーン・アルティメイタム(2007年製作の映画)
4.0
〈ジェイソン・ボーン〉シリーズ最高傑作!元々続編は製作される予定はなかったのだが、前作のヒットを受けて製作されたのが本作『ボーン・アルティメイタム』。前作の『ボーン・スプレマシー』も製作される予定はなかったのだが、これまたオリジナル作の『ボーン・アイデンティティー』のヒットを受けて製作が決定されている。つまり、、、このシリーズ、元々は3部作構成になる予定すらなかったわけである笑。シリーズ作品は続編が製作される度に面白くなくなってしまう事も多いが、このシリーズは続編の度に面白くなり作品全体に深みが出る形となっている。シリーズ化される予定がなかった作品がシリーズ化して、物語としてもうまくまとまりながら、ヒットもかます!これは製作陣の力量だね。

とはいえ、製作は多少難航していたようだ。シリーズの脚本を担当してきたトニー・ギルロイが今回も担当となったものの、初稿はあまりに酷かった(?)らしく、主演のマット・デイモンが酷評したというのは有名な話。かつてアカデミー賞で脚本賞(『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』)を受賞したことのある彼が言うのだから、そうだったのかもしれない笑。で、脚本はジョージ・ノルフィに交代して書き直しとなったのだが、なんと撮影はすでに始まっていた。明確なビジョンがないまま進んでいくという、かなりバタバタした展開だったようだ。しかし結果的には全世界で4億4000万ドルを超える業績で、シリーズ最高成績に。加えてアカデミー賞でも3部門を受賞(編集賞、録音賞、音響効果賞)。このシリーズで唯一オスカーを受賞した作品となった。あっぱれである!本作でもポール・グリーングラス監督による〈コマ割り〉撮影は健在で(さらに進化した?笑)、スピーディーなアクションが楽しめる。

本作ではついに〈ジェイソン・ボーン〉の過去が明らかになる。〈CIA〉との全面対決。そして黒幕の登場。スリリングな知能戦を本作でも充分堪能出来る!面白いのは、作中ボーンが〈CIA〉のパメラ・ランディに電話をするシーンがあるが、これは前作『ボーン・スプレマシー』のラストシーンである。一瞬回想のように見えるのだが、本作『ボーン・アルティメイタム』の前半は、前作『ボーン・スプレマシー』で描かれていなかった〈何故ボーンがパメラに電話をしたのか〉を描いていたことが判明し、ここで前作と見事に繋がるのだ。うん、見事!

本作でもやはりパメラ・ランディが最高に格好良い!こういったリーダーがいいよねぇ。そしてボーンとニッキーの関係も良い。記憶喪失になる前、ぜったいにボーンとニッキーにはロマンスがあったな笑。うん、ぜったいにある笑。しかし余計な恋愛シーンを入れないところが本作の魅力でもある。そしてニッキーのニヤり顔で終わるラストとまたまた流れるMobyの曲“Extreme Ways”。今回もバシッと決まっていてかなり良いラストだ。オリジナル作冒頭のシーンと本作のラストシーンは見事に繋がっている。自分が何者かもわからなかった男〈ジェイソン・ボーン〉、すべてを知った今、彼は自分の人生をどう歩んでいくのか。素晴らしいシリーズだった。とても「元々はシリーズ作品になる予定はありませんでした」とは思えない作品だよね。
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