この作品が公開された時代、
映画界はちょっとした『女性映画』ブームでした。
女性を主人公にした様々な作品が制作されましたが、
本作はその中でも骨太の一篇だといえると思います。
女流劇作家リリアン・ヘルマンの回想記をベースに、
幼友達のジュリアとの友情を描いています。
ナチスの台頭が始まった1937年、リリアンは離れて暮らしているジュリアから久々の連絡を受けるが、その内容は、反ナチ運動資金の5万ドルをベルリンまで運んでくれということだった。
ユダヤ人のリリアンがドイツに向かうということは、大変危険な行為だった時代だが、激情家のリリアンはベルリン行きを決意する・・・
この太いストーリーの合間に、
少女時代のジュリアとの思い出が挟まれる。
どうやって5万ドルもの大金をベルリンまで運ぶのかというのは本編を観ていただくとして、そのサスペンスの盛り上げ方は天下一品です。
サスペンスミステリーとしても素晴らしい出来栄え。
そのサスペンスシーンを乗り越えて、
ジュリアと再会するシーンは、
声高にならないものの沈痛なムードが漂う。
ジンネマン監督は、凝りに凝った映像づくりを見せており、室内シーンも屋外シーンもとても奥行きのある場面が繰り広げられる。
夜行列車に乗っているリリアンの窓に外からの光で雨粒が光る。
『インディー・ジョーンズシリーズ』で知られる撮影監督ダグラス・スローカムの見事な仕事ぶりです。
リリアンとハード・ボイルド作家のダシール・ハメットとの関係が描かれているのも興味深い。
感情の起伏が激しいリリアン演じるは、ジェーン・フォンダ。
ジュリアを、ヴァネッサ・レッドグレーヴ。
実をいうと、このお二人僕は苦手なんです。
ちょっと灰汁が強いところがあるでしょ。
でも、この作品の熱演は認めざるを得ませんね。
あと、
ハメットを演じたジェースン・ロバーツの寡黙な演技にしびれました。
見事な映像と展開に酔わされる118分。
おススメですよ!