MaruFuku

フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白のMaruFukuのレビュー・感想・評価

4.4
第二次大戦以降の冷戦時代の戦争・紛争の、アメリカ側で中心にいた人物の回顧録。
片側の話のみとはいえ、かなり中立的に作られた作品で勉強になる。
アカデミー賞も頷けるものだった。

ケネディ、ジョンソンの国防長官だったマクナマラ氏。
キューバ危機、ベトナム戦争。
フォード社長。
第二次大戦からしっかり戦争やってきた人。

「あのときは危なかった」という話から様々な悔恨までリアルに語られる。

キューバ危機で、フルシチョフは「戦争はあとに廃墟と化した町や村、そして死と破壊があるだけだ」マクナマラ「核戦争にならなかったのは運が良かっただけ」。
ベトナム戦争では、ケネディ暗殺により後任となったジョンソンに撤退方針を撤回されて、それを止めれず。振り返っていろんな後悔があるからこそのディテールへの言い訳。

当時、アメリカが冷戦そのものをいかに深刻に捉えていたかという象徴なのだろう。様々な批判や出来事を無視して独善的になっていたわけではなく、彼らは彼らなりの懸命な努力や苦渋の判断があったのだ。
それが間違っているものだったかどうかは、結果が出ないとわからない。後知恵で言うのは簡単だし、そうでないと見えないこともある。

In order to do good, you may have to engage in evil.

でも戦争では、上記の言葉通り良いことをするために悪いことをする事態が起きてしまう。
だから未然に防ぐ努力が必要なのだと思う。

やるからには勝つ、自国の利益になるようにする。キューバ危機の際に相手の立場になって考えてギリギリ戦争にならなかったが、ベトナムではそれが無かった、という話がある。第二次大戦でも最終的に完膚なきまでに日本を焦土と化すが、やり過ぎたという悔恨もある。
国という単位でしか語れないことが、今の人類の限界なのかな、とも思う。

ジョンソンがトランプと重なるような思いを抱くのは僕だけでしょうか…
MaruFuku

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