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第三の男のいののレビュー・感想・評価

第三の男(1949年製作の映画)
4.2
ハリーといったらこれまでは〝ダーティー・ハリー〟か〝どろんこハリー〟この2択だったけど、これからは〝オーソン演じるハリー〟も追加。先日、市民ケーンを観て、巨人オーソン・ウェルズに悪態をついたら、逆になんだかとっても親しみが湧いてきて、今ならこの名作も観られそうだと食いつきました。名言もあるのだと教えていただいて。


ルネサンス vs. 鳩時計


戦後間もないウィーン。4国による分割統治下にあるウィーン。光と影。がれき。階段。トンネル。地下水。観覧車。斜めってる構図。ハリー登場の美しさ。なんだか、どれもこれもが格好いい。確信犯的格好良さ。そして、タイトルの格好良さ。『市民ケーン』を観たばかりだったから、ホリーとハリー(ジョセフ・コットンとオーソン・ウェルズ)が旧知の仲だったという設定にも、めちゃ説得力があった。登場人物3人の関係の揺らぎ。それからあの曲♪この映画の曲だったとは!!!オーソン・ウェルズが監督じゃなかった!




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〈追記/メモ〉2024年春
私は彼女が公園の中のまっすぐな道を歩き去っていくうしろ姿を『第三の男』のジョセフ・コットンみたいにじっと見ていた。(村上春樹『世界の終りとハード・ボイルド・ワンダーランド(下)』新潮文庫、2023年第17版、388頁)
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