お豆さん

悪い奴ほど手が白いのお豆さんのレビュー・感想・評価

悪い奴ほど手が白い(1967年製作の映画)
3.0
シチリアは風光明媚なチェファル(『ニュー・シネマ・パラダイス』のロケ地らしい)で起きた、ある予告殺人。被害者の愛人の家族が容疑者として逮捕され、事件は解決されたかに見えたが、友人のひとりが疑問を持ち、独自に捜査を進めていくうちに辿り着いた真実とは。

勘のいい人はすぐに結末を予想できてしまうのだろうが、私はまんまと騙されてしまった。チェファルとパレルモを行き来しながら謎解きに夢中になる主人公と、それを見守る怪しい男たちの影。暗示的なショットを交えながら、迫り来る危機への恐怖がジワリジワリと高まっていく。一市民が、時に無自覚のうちに大きな力へと戦いを挑み、敗北していく姿は、勝利という形で終わる多くのアメリカ映画とは味わいが異なる。マフィアを描いた初期の映画らしい(1967年)が、それはまさに追い詰めては抹殺されるという、イタリアにおけるマフィアとの戦いを象徴しているかのようだ。小市民は、見て見ぬふりをするのが一番…。

すべてが明らかになる、ラストのかっこよさ。エリオ・ペトリは『華麗なる殺人』(1965年)しか見たことがなく、監督としての振り幅の広さに驚いた。『殺人捜査』(1970年)と『労働者階級は天国に入る』(1971年)が、特に評価されている作品のようなので、そのうち見てみたい。

2016. 81
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