いろどり

ツバルのいろどりのレビュー・感想・評価

ツバル(1999年製作の映画)
3.9
「ルナ・パパ」のチュルパンちゃん目当ての鑑賞。
今作は前から気になっていたけど、ドニ・ラヴァンが強烈に苦手なので(学生時代に観たアレックス3部作で発症)ずっと見送りにしていた。
今回、先日観た「ルナ・パパ」のチュルパンちゃんがあまりに可愛かったので、とうとう手を出してみることにした。チュルパンちゃんの可愛さは何にも勝る!

終末観あふれる砂漠の中にポツンとある廃墟のようなプール。
アントンの心象風景を表したセピアの映像。
セリフはほぼなしで、サイレントの名残のトーキーのような息遣いと音楽のみの音声。
感性豊かで独自のスタイルを確立している不思議な世界が素敵。
翻訳のいらない、世界で通用する映画を作りたかったという監督の思いは成功している。

アントンの盲目のお父さんは、上半身を空気で膨らませて丸眼鏡で杖をもつ姿がどこかジブリ風で可愛い。
小悪魔なチュルパンちゃんは今作ではなんとヌードを披露。
若さあふれるチュルパンちゃんなのでエロさよりも健康的で瑞々しいところが良い。

幻想的なシーンが多いのも良かった。

チュルパンちゃんが水の中を魚と泳ぐシーンは、水中カメラではなく普通のカメラで撮影したとのこと。奇妙なのにとても美しく幻想的で、素敵だった!
プールの周りを蝋燭で囲んで棺を流すシーンもゴシックを感じる幻想美でお気に入り。

ドニ・ラヴァンは変態&純粋を見事に演じきっていて、ドニ・ラヴァンらしさ全開。
DVDの特典インタビューで話している姿を見たところ、昔抱いた嫌悪感は全くなかったので苦手意識は少なくなった。私が苦手だったのは演じている役なんだとハッキリ認識できた。やっぱりすごい役者なんだな。

チュルパンちゃんが可愛いだけではなく、監督の遊び心を感じられる作家性のある映画だったので観られて良かった!
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