佐藤克巳

サヨンの鐘の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

サヨンの鐘(1943年製作の映画)
4.0
1938年、台湾台北州蘇澳郡蕃地タイヤル族の村で起こった事故で命を落とした、少女サヨンの実話を清水宏監督が映画化した佳作。西条八十作詞、古賀政男作曲の歌になり哀悼の鐘まで設置された美談が語られる。美しい高山の風光明媚さやアニミズムを受け継いだ独特の風習を持つ高山族に目を奪われ、日本人警察官の誠意ある行動と村人との信頼関係が構築されていた台湾を、郷愁すら感じさせる見事な映像空間が広がる。豚、家鴨、山羊を飼い、村の子育てに懸命に生きるサヨン李香蘭が、激しい雨中に日本人巡査出征の見送りの途中、丸木橋に足を滑らせ激流に飲まれた。
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