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こわい童謡 表の章のkanacoのレビュー・感想・評価

こわい童謡 表の章(2007年製作の映画)
2.5
名門女子高の合唱部員を襲う〈本当は“怖い”童謡〉の怪異を描いたホラー。【表の章】はとにかく謎を広げていく謎かけのターン。どこかピリピリとしていてJホラー路線を感じるジメジメの雰囲気が漂っているけど、肝心の〈童謡ホラー〉の扱いが後半になるにつれてファッション的に感じてしまったかも🤔💦(140文字)

****以下ネタバレあり&乱雑文****

フォロイーのおしるこさんのレビューで興味をもって鑑賞😄

◆あらすじ◆
東京郊外にある名門女子高校に通う彩音は合唱部に所属している。部活動はコンクールに向けて熱が入っており、発表曲となる「童謡」のメドレーを仕上げるため音楽室にて日々練習に励んでいた。ある日、同じ合唱部員で寮のルームメイトである奈々香が不審な自殺をしてしまう。これをきっかけに彩音の周りで変死や失踪が相次ぐ。彩音はこの事件に“童謡”が絡んでいることに気がつき独自に調査を始めるが…。


❶合唱部員たちを襲う〈本当は“怖い”童謡〉の怪異を描いたホラー:謎かけ編

―作者不詳の童謡やわらべ歌には我々の想像を超えた力が秘められている。一見のどかな歌詞にも様々なメッセージや暗号が込められ、その解釈を巡っては所説がある(本編より)―

〈本当は“怖い”童謡の解釈〉をテーマに【表の章】【裏の章】の2部で構成されているホラー及びミステリーです。本作は多部未華子演じる女子高生・彩音が“童謡”にまつわる怪異に襲われる【表の章】です。

彩音が所属する合唱部員たちが次々に変死・失踪。彩音自身も奇妙な幻聴に悩まされます。そして消えていく仲の良かった部員たちについて調べるうちに、この凄惨な事件には〈童謡〉…それも〈実は恐ろしい解釈や伝承がある童謡〉が関わっているのではと気がつきます。そして自身の仮説にのめり込んでいく彩音にもついに大きな怪異が…という感じ🤔

【表の章】はとにかく謎を広げていくホラー及びサスペンスのターン。名門女子高のお嬢さまたちによる上品で穏やかな雰囲気…などはゼロ!どこかピリピリとして、Jホラー路線を感じるジメジメな雰囲気が漂っており、誰もが一度は耳にしたことのある有名な〈童謡〉に沿うように、女子高生たちが怖しい事件や怪異に巻き込まれて行く様子を憂鬱かつ淡々と描いている印象でした。

❷肝心の〈童謡ホラー・ミステリー〉の扱いがどうにもファッション的に感じてしまう(辛口注意)

昔に『本当は恐ろしいグリム童話』という本が流行しましたが、私もその本をきっかけにそういうジャンルが好きになり一時期〈本当は怖い解釈ができる童謡やわらべ歌〉についての本を何冊か読んでいた時期がありました。

この映画でもそれらの本で常連である…例えば身ごもった女性を突き落とした後ろの正面誰という〈かごめかごめ〉やこの子の七つのお祝いなのでこの子を収めに参った人身御供の〈とおりゃんせ〉、勝って嬉しい人身売買の歌遊び〈花いちもんめ〉などなど(もちろんこれらは1つの仮説でありエンタメ解釈でもある)が出てきてちょっと懐かしい気持ちになりました。この映画に出てこない童謡だと〈てるてるぼうず〉や〈ロンドン橋〉などもよく本で取り上げられていたような🤔

ただ、個人的に本作がイマイチだなと思ったのはこの〈童謡〉の扱いの部分。〈かごめかごめ〉〈とおりゃんせ〉〈花いちもんめ〉を含めて6~7曲ほど出てくるのですが、怪異の演出として納得できるのはタイトルを記載した3曲くらい…。

さらに73分という短さの中で矢継ぎ早に曲を出すのでそれぞれの〈童謡〉が深堀されるというわけでもなく、そもそも童謡の歌詞自体を丁寧に教えてくれるわけでもないので鑑賞者が歌も歌詞も意味もちゃんと知っている前提で走ります。うろ覚えでは何がなんだか分かりません。テーマとして一番肝心だと思う〈童謡ホラー・ミステリー〉の扱いがどうにもファッション的で薄く感じてしまいました。 

見ていて苦痛というわけではないし前半は「ふむふむ」と思いながら興味を持って見ていましたが、後半に行くにつれてどんどん大雑把になっていき、なんだか薄味でもの足りない…そんな前半戦🤔

🎶🐝「…というわけで、【裏の章】に続きます!」
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