半兵衛

婦系図(おんなけいず)の半兵衛のレビュー・感想・評価

婦系図(おんなけいず)(1942年製作の映画)
3.0
長谷川一夫&山田五十鈴の美男美女コンビによる息のあった演技、マキノ流の新派演出、三浦光雄による美しい映像と見所は多い。あと山本礼三郎(『酔いどれ天使』で三船敏郎の兄貴分を演じている役者)の新派とマキノスタイルの演技の両方のツボを押さえた軽妙な演技の素晴らしさや、ラストカットの山田の美しさも印象に残る。

ただ古川ロッパ演じる先生の存在がなあ、マキノ雅弘(この作品の頃は正博)監督は自分なりの芝居の盛り上がりを優先するあまりキャラの設定が崩壊したり意味のわからない会話を繰り広げることが多々あるけど、この映画の先生はまさにその被害を被ってしまっている。弟子の長谷川一夫と芸者の山田五十鈴の恋に対して将来のことを考えて反対しているのはわかるけれど、必要以上に悪態をつき罵詈雑言をかますので不快な存在になってくる。ラストに山田に許しを乞おうとする姿も今までの態度が酷いだけに「どの面下げて言ってるんだよ!」と見ている人の大半はキレるはず。

あと戦時中にラブドラマを何とかやらせようとした結果ところどころ時局に気を遣ったような設定になっている(主人公の長谷川一夫が火薬の研究をしている)のも見所。
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