シネマスナイパーF

アメリカン・サイコのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

アメリカン・サイコ(2000年製作の映画)
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何をしても周りは無関心で、一番つまらん人間はどうやら俺らしい
これはキツイな〜同情しちゃう
名前を間違えられるのは地味ながら大事な伏線だったんだな
しかも、息を吐くように虚言をバンバン言う様子を見せることで、やったつもりでいただけ、という可能性まで見せられちゃうとなぁ…


名刺でのマウントの取り合いがアホみたいに笑える
マジでしょうもなさすぎて
このしょうもなさがこの映画の核なんだけども
側が全てなんだよ結局
どんだけ拘っててもどんだけすごいこと裏でやってても、目につく部分で評価されるだけなんだよな
エド・ゲインやテッド・バンディの話をしたところで食いつかれやしない

ベイトマンの行う凶気は常軌があっての凶気であって、保つべき常軌を分かった上でのもの
そんな彼が生きる世界であるウォール街は、お金があれば正義!名刺がカッコいいやつがイカす!住んでる部屋で格が決まる!!
ん?そもそも環境がおかしくね?
そこで彼が本来最高にヤバいことであるはずの殺戮をしていても、周りは真に受けやしない
ベイトマンに哀愁を感じずにはいられないよ
やってることは最悪なのに

無機質な映像に根明なポップミュージック
こういった違和感がこの映画全体のユーモアを確立しているかな
繰り返しになりますが、無機質さを感じる映画の中で、銃弾一発で車が爆発したりと、いやおかしいだろと思うような突飛さがある
それが可笑しく、そういった違和感が実は作品に対する印象の撹乱にもなっている
そんな違和感だらけの映画のラストで、ウォール街の男がテレビに向かってどうせ嘘ばっか言ってるだけだと吐き捨て、中身はどうなんだろうなとベイトマンに尋ねるが、ベイトマンは、本当の自分なんか誰も知ろうとしないことを知ってしまった…だから、中身なんかどうだっていいんだと言うしかなかった
そして我々は今まで見てきたものを疑わずにはいられなくなる


見どころ盛り沢山
名刺でマウント取り合い合戦を筆頭に、3P中に鏡見てポージング、全裸チェーンソーダッシュ、困ったらとりあえずビデオ返却の言い訳など、様々なお笑いの手法を取り入れたファニーな映画
ベイトマンのキャラクター性といい、愛らしい作品だと感じました


ウォール街の本性を描いたこの映画で主演をしたクリスチャン・ベールが、別の形でウォール街を批評する映画であるマネー・ショートでも主演を張ることになった流れは今思うと感慨深い
そしてこのアメリカン・サイコを観た後、クリスチャン・ベール版のジョーカーもありかもと思う方もいらっしゃるのでは