kazu1961

第七天国のkazu1961のレビュー・感想・評価

第七天国(1927年製作の映画)
4.4
▪️Title :「第七天国(1927)」
Original Title :「7th Heaven」
▪️Release Date:1927/11
▪️Production Country:アメリカ
🏆Main Awards : 第1回アカデミー賞
監督賞・主演女優賞・脚色賞
▪️Appreciation Record :2019-235 再鑑賞
▪️My Review
“下なんか見るな!いつも飢えを見ろ!!”
ほんと、素晴らしい名作です。リリカルな描写、素晴らしい音楽、時代を超越して感動を呼ぶ輝く愛の映画です。天にも昇るアパルトマンの屋根裏部屋(この空間造型は凄い)が舞台。
貧しい下水掃除人のチコはその7階の自室をユダヤ教の最上天に因んで、“第七天国”と呼んでいました。ある夕、仕事を終えたチコは姉に鞭打たれ倒れていた少女ディアンヌを救います。行く当てのない彼女を“第七天国”に連れて来た彼は、身元調査に来た警官に“妻だ”と偽りを言ううち、彼女に特別な感情を抱きます。ディアンヌも同じです。初めて自分に幸福をもたらした青年は、折しも勃発した第一次大戦に召集されてしまいます。彼らは二人きりの式を挙げ、約束をしめす。毎朝11時、心の中でこう呟く事を。“チコ、ディアンヌ……天国(ヘヴン)”。
ほんとに美しくて、ピュアで泣けてきます。二人のいちいちの振舞いに心が揺れます。
メロドラマの巨匠ボーゼージが、可憐なゲイナーを天使の位まで高め、純愛の官能を謳いあげた名作です!!
2人の男女が出会い、互いに惹かれあい、互いに影響を与え合う。そんな世の中のどこにでもあることが、世の中を成立させていることを、「第七天国」は描いています。姉に虐待されて下ばかり向いているディアンは、下水道で働いていながらも上ばかり向いているシーコゥから上を向くことの大切さを教えてもらいます。なんと、淀川長治によると、永六輔が作詞した「上を向いて歩こう」は、「第七天国」から取られているそうかんですね!!
「第七天国」のタイトルの由来は、2人が住むアパートの部屋が7階にあることからです。このことが、「上を向いて生きていこう」というメッセージが込められています。最初に延々と階段を昇るシーンの長回しはほんとに見事です。この長い階段は、2人が上を向いて生きていくためには苦難がつきまとうことも意味しているんですね。加えて、映画の終わりに、シーコゥが群集を掻き分けてディアンの元に向かい、最後に駆け上がるのもこの階段なんですね。
90年近くも前の作品、台詞ひとつとっても全然色褪せない永遠の素晴らしい名作ですね!!

▪️Overview
オースティン・ストロング作の舞台劇を映画化したもので、ベンジャミン・グレイザーが脚色し、「なまけもの」「秘密」「待てば海路の日和とか」等と同じくフランク・ポーザージが監督した。主役は「青鷲」「誉れの一番乗り」出演のジャネット・ゲイナーと「戦艦くろかね号」「決死隊」出演のチャールズ・ファーレリとが演じ、デイヴィッド・バトラー、アルバート・グラン、グラディス・ブロックウェル、エミイル・ショータール、ジョージ・E・ストーン等が助演している。1937年にヘンリー・キング監督、シモーヌ・シモンとジェームズ・ステュアートの主演で再映画化された。1995年、アメリカ国立フィルム登録簿に登録されている。
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