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ドリームチャイルドのkanacoのレビュー・感想・評価

ドリームチャイルド(1985年製作の映画)
3.5
『不思議の国のアリス』の主人公モデル:アリス・ハーグリイブスが70年以上の時を経てこの著作の〈真実〉に気がつく物語。〈今〉〈過去〉〈不思議の国〉の3つパートに分かれ織り交ざって進行。〈不思議の国〉の住人たちはマペットで不気味でクセになる独特なデザイン!〈今〉パートは不満ありかも🥺💦(140文字)

****以下ネタバレあり&乱雑文****

🐝お知らせ🐝
4月より仕事環境が少し変わることになり、慣れない状況等で忙しくなることが予測されるため、明日よりMARKのUPを4月末くらいまでお休みします。頂いたコメントに対する返信や、みなさまのレビューを読んだりコメント入力のみ、息抜きとして行っていこうかなと思っています。よろしくお願いいたします😌

◆あらすじ◆
世界的に有名なルイス・キャロル著作『不思議の国のアリス』の主人公のモデルとなったアリス・ハーグリイブス。1932年、ルイス・キャロルの生誕100年を記念してコロンビア大学からハーグリイブス夫人に名誉文学博士号が贈られることになり、80歳になった彼女は付添人のルーシーとニューヨークへ向かっていた。それを聞きつけたアメリカの記者たちは本物のアリスに取材を申し込もうと港に押し寄せる。元記者でビジネスを考える若者ジャック・ドーランは付添人のルーシーに接近してハーグリイブス夫人と会話の機会を得る。ハーグリイブス夫人はドーランが行う手配によって『不思議の国のアリス』の原作者であるルイス・キャロル…本名チャールズ・ドッドソンとの日々を徐々に思い出していく。

❶80歳のアリスが時を経て『不思議の国のアリス』の〈真実〉に気がつくという物語

イギリスの数学者チャールズ・ドットソンがルイス・キャロルの筆名で書いた児童小説『不思議の国のアリス』。そのアリスのモデルであるアリス・ハーグリーヴズ(旧姓リデル)が80歳の時に、ルイス・キャロルの生誕100年で名誉文学博士号が贈られることになりイギリスからアメリカを訪問するところから物語は動き出します。

80歳のハーグリイブス夫人(彼女はアリスと呼ばれることを嫌う)は、彼女の発言で何か記事を書こうと押し寄せた記者たちを無礼な人々と言って取り合いません。そんな中で記者をクビになったものの金儲けに意欲的で軽快な若者であるジャック・ドーランは夫人の付き人である若い娘ルーシーと親密になることで、『不思議の国のアリス』の裏話を聞いたりそれがビジネスになることを夫人に掛け合うチャンスを得ます。

ハーグリイブス夫人は彼女が主人公であった物語についてずっと消極的な態度を取っていましたが、ドーランに記憶を刺激されることにより少女時代を回想するようになり、そのうえ〈不思議の国〉にさえ迷い込むようになります。やがて夫人は70年以上の時を経て『不思議の国のアリス』という物語の〈真実〉に気がつくという物語です。

物語は〈今(アリス80歳)〉〈過去(アリス10歳)〉そして〈不思議の国(年齢の概念など存在しない)〉というように時代及び世界により3つに分かれたパートが織り交ざっって進行していきます。

❷3つに分かれたパートはそれぞれ印象が違います。

〈今(アリス80歳)〉=今の正規時間のパート。偏屈なハーグリイブス夫人と気弱な付き人のルーシー、軟派な元記者のドーランの3人が中心で、本作の主軸となるパートです。

〈過去(アリス10歳)〉は80歳のアリスが回想するシーン。チャールズ・ドットソンと彼が勤務する大学の学寮長の三人の娘たち…中でも次女のアリスとの交流が描かれます。

この10歳の少女アリスがとても可愛い!美少女なのはそうなのですが、素朴さと上品さと知的さ、一方での無邪気な残酷さや“女”感がバランスよく上手に醸し出されているような魅惑的な少女。そしてそんな幼い女の子に熱視線を向ける40~50歳くらいに見えるドットソンさん。何をされるわけでもないのに何だか倒錯的なものを見ている気持ちになるのが印象的なパート。

〈不思議の国〉のパートはファンタジー。ですがディズニーアニメの明るさもあって可愛らしい感じではなく不気味メルヘンなデザインです。もちろんアリスは人間ですが不思議の国の住人たちはマペットで登場。制作は『セサミストリート』で有名なマペット作家のジム・ヘンソン。

彼が作り出したウミガメモドキやグリフォンのコンビ、イカレ帽子屋に三月ウサギ、眠りネズミのトリオ、イモムシは可愛らしさがなく気持ち悪いのにクセになる独特な感じ!個人的には同じく不気味だったヤン・シュヴァンクマイエル『アリス』よりも、『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』にホラー要素を大幅に追加した世界観を冒険するPCゲーム『アリス イン ナイトメア』その続編のPS3ゲーム『アリス マッドネス リターンズ』のデザインの方を思い出すような感じでした。好き🥰

❸ 〈今〉パートに不満は集中!(辛口注意)

〈今〉〈過去〉〈不思議の国〉で最も退屈を感じたのは〈今〉パート。アリス・ハーグリイブス夫人が回想していくことで『不思議の国のアリス』という物語の〈真実〉に気がつくというパートですが、このパートが一番長い。そして長引かせているのは必要である理由が分からないルーシーとドーランの若い2人のかったるいメロドラマでした。『不思議の国のアリス』に関係ない!

い…いらない( ˘•ω•˘ )(辛辣)

そもそも記者たちの無礼で横暴な態度があまりにも酷くてゲンナリしているのに、そのお仲間でもありその調子のままルーシーの彼氏として軟派に躍り出るドーランが、私が嫌いなタイプでどうしてもいけ好かない(私情マシマシ😂)。だいぶ早いうちから「もう君はしばらく黙っていてくれたまえよ…💦」と思っているうちに話が終わってしまった(ただし、一応ドーランは最終的には根が良い軟派君ではあった)🤣💦

📖🐝「最も世界観が良く本作の個性である〈不思議の国〉パートが少なかったのもションボリ。〈過去〉パートも良かったですしラストの夫人の決着も良かったと思うので、もっとアリス・リデル/アリス・ハーグリイブスとチャールズ・ドットソン/ルイス・キャロルの2人に絞ったお話が見たかったです。

…ちなみに、どう考えてもロリコンさんじゃないかーい!…というお話を幻想的にも美しく飾る本作の演出は人によっては頭を捻る…かも??🤔」
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