ミシンそば

つながれたヒバリのミシンそばのレビュー・感想・評価

つながれたヒバリ(1969年製作の映画)
3.8
ビロード革命で共産主義体制が倒されるまで20年以上封印された、イジー・メンチェル円熟期のゆっるい作品。
ただ、発表・製作時期がメンチェルにとっても脚本のフラバルにとっても凄く悪かった、誰もが言いたいことを言えない時代が今も続いてることをストレートに示し過ぎた、親ソ政権時代じゃそりゃ発表できないわなってなった。

ゆっるい流れで、群像劇のように終始進んでゆくけど、体制の弾圧の中にあっても決して光を失わない自由への渇望を掲げる人間賛歌のようなエネルギーももちろん感じる。
同時に体制の悪意とダブルスタンダードも(あの太った組合員の言動がめちゃくちゃ不愉快だった)。
言いたいことは言えない40年代後期(朝鮮戦争時代であることが暗に示されている)時代は、残念ながら製作時期の60年代後半とリンクしてしまっているところが実に生々しい。
メンチェルお得意のゆっるい流れの中にもそう言った時勢と過去への告発はシニカルに盛り込まれている。

結末と、その直近の組合員や警察(いわゆる権力側)の所業を直視して、憤りの中で映画を観終わることがないギリギリの均衡を見極めてる感じって言う作品だったな。