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いつか来た道のvivoのレビュー・感想・評価

いつか来た道(1998年製作の映画)
5.0
ある種の愛情の姿を、肯定も否定もせずただそのまま映した映画。長い年月を感じさせながらも中だるみも無駄もない構成がお見事だった。たぶん人は常に不安を抱いている。だから、何かひとつだけでも信じられるものがないと不安でたまらなくて生きるのが難しくなる。この物語の中で、「信じるべき対象」として互いを求める二人は、自己犠牲によって互いを傷つけ、やがて自分自身を最も傷つける。「信じるべき対象」として誰かを求める感情は愛情とは似て非なるものなのかもしれないし、もしかしたら、それこそが全ての愛情の真の姿なのかもしれない。自分の行動やそれを導いた感情を解き明かそうとする横顔を映す長い長いカットが、形容しがたい鈍痛を残す。
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